DIVING

 2006-08-31
俺達SLAメンバーの先輩、亮さんの尽力により7SEASのマサさんの仕切りのもと、ダイビングツアーが実現。

悔しさ、喜び、驚き、楽しさと沢山の感動を味わうことができた充実のツアーでした。マサさん、そしてインストラクターのあずささんに本当に感謝です。そして亮さん、ありがとうございました。

『芝居は感性』『俳優は感性を磨け』とよく言われます(俳優に限ったことではないですが)。今年はその意味、その大切さ、どうすれば感性は磨かれるのか、それは何故必要なのかがよく感じさせてもらえた夏でした。

海は俺にとって大好きな場所。生まれ育った北海道の小樽も港町。昔はしょっちゅう海で遊んでいた。しかしダイビングは経験が無かった。潜ることはあっても精々3mくらい。

ダイビングは違う。タンクを背負ってドンドン深く潜っていく。次第に光が届きにくくなり暗くもなる。沢山の海中生物が住んでいる。巨大な岩や様々な地形。全てが新鮮な世界。
楽しさとすぐ背中合わせになっている『危険』の可能性すらも俺には魅力だった。
全てをリードしてくれるマサさんは「NAUI」の“インストラクターの先生”、そしてあずささんはマサさんが認める湘南一の厳しいインストラクター。指示も動きもケアも本当にまさに『海のプロ』だった。勉強させてもらうところだらけだった。

SLAでは毎年、冬はスノーボード、スキーへ行っている。今年からは夏のダイビングが始まった。これは全て遊びであり俳優の為のトレーニング。
身体に何かを感じさせ、刺激し、躍動させる。そしてその遊びの中にあるものを学んでいく。
団体行動とは何か。一緒に遊ぶこと、その感覚や感動の共有。それには何が必要か。ただの“お遊び”ではない。学ぶことは山と在る。
そしてそれらを吸収し、自分のものに出来るかは全て自分次第。

SLAはあらゆる角度から俳優の感情、感覚、感性を磨いていく。

芝居がしたい人

 2006-08-26
師匠曰く、芝居がしたい人、俳優になりたいという人には2種類ある。
『仮面を被って現実逃避したい人』
『自己探求、自己発見、自己表現したい人』

このことは俺も強く感じる。まさにその通りだと思う。
今まで沢山の俳優志望の人たちを見てきた。

現実逃避している人の芝居。そこからは何も生まれない。人前で泣いたり笑ったりすることは出来てもそこに感動は無い。

自己探求、自己発見、自己表現したい人というのは、『本当の自分、自分の生きる意味や目的を探し、自分の人生を生きようとしている人』だと思う。
そこには本物の感情、本当の人間の姿があると思う。

どちらが魅力的な俳優となるかは明らか。

俺はどっちか?
自己探求、自己発見、自己表現したい人だ。


たまに俳優志望という若い人の相談も受けることがあるが、『〜の事務所へ行けば仕事がもらえるか』『とにかくオーディションを受けたい』『〜でレッスンすれば俳優になれるか』などの話が多い。そして選択の基準がそういったことのみになっていることが多い。俳優の仕事が何も出来ない人に仕事があるとは思えない。仮に運良く何かもらえたとしても単発で終る。次にはつながらない。
これは今日本でみんなが目にしやすいドラマや映画を観てのこともあるんだろうとも思う。しかしどんなに主役をやっても常に仕事があっても俳優の仕事をしてない人は、俺は俳優だと思わない。それはあくまで『スター』『アイドル』『タレント』『有名人』『単に業界にいるのが長い人』だと思っている。

俳優の仕事は『台詞を言って、感情が豊に見える表情(動き)をすれば良い』ものでは全く無い。
また、よく『年とともに味が出てくる』とも人は言う。けれど何もせずに味など出るわけは無い。

俺はやはり薄っぺらな俳優では満足できない。俳優としても人間としても常に成長していきたい。
本物の人間、本物の俳優になるのみ。

LESSON 1 何から始めたらいいのか?

 2006-08-23
『LESSON〜演じるために必要なこと』
このカテゴリでは、俳優のレッスンとして必要なことを俺の解釈で整理して順を追って書いていきたいと思います。発声や感情表現など基礎的なことはカテゴリ『SLAワークショップ』の方で書こうと思うので、こちらでは主に実際の芝居(シーンやモノローグ)の練習に関することを書いていきたいです。
何故それをしようと思ったか・・・?

一つには俺が今まで師匠の下で学んできたことを整理するため。
もう一つには師匠と出会う前の俺のように『芝居を学べる場所』『俳優として成長するためのトレーニング場』を探している人のための助けに少しでもなればと思ってのことです。

特に全く初めて『芝居を始めてみたい』『俳優になりたい』と思い始めた人の中には、『やりたい気持ちはあるがどうしていいか分からない』という人は多いのではないかと思います。
かつての俺がそうでした。
自分が『この人から学びたい!』と思う人に出会えるまでにかなりの時間がかかりました。

ではなぜ『学びたい』と思い、その場所、師匠を探し求めたか?
『一流』、『本物』の俳優になりたいからです。

もし俺がスター、もしくはスター候補の素材であるなら、プロダクションは放っておかないだろうし、売り出しもしてくれるでしょう。仕事に困ることも無かったはず。
しかし俺は違う。俳優として実力をつけたかった。(その辺の考えや思い、経過などはカテゴリ『STORY』に書いてあります。興味があれば是非ご参照を)

演技、芝居のことは実際に演じて感じて表現していかなければ伝わりづらいことは多々在ります。表現や言葉遣いを間違えると勘違いされる恐れもあります。そして書いていく記事の中には以前書いた記事と重複するものもあると思います。しかしこれも全て挑戦。


さてまず俺が書こうと思うのは、『自己紹介〜自分のことを話す』こと。
今現在現実に生きている自分自身のことをちゃんと話せなければ、どうして架空のストーリーの中の架空の人物の言葉を話せるでしょう?台詞を生きている言葉にするために、まず自分のことや考えていることなどを時や場所、状況や相手によって、わかりやすく的を得た言葉で、さらに欲を言えば面白く、聞いている人が楽しめるように話すことを練習すべきだと思います。
単に『話術』ということだけでなく、自分の中にある『想い』や『感情』を相手に伝えられるように。
これはいつでもどこでも練習できます。オススメしますよ。

I think・・・

 2006-08-21
『I think・・・』
今までもそうだったがこのカテゴリでは、俳優修行、人間修行の上で自分が感じてきたこと、自問自答の中身、師匠から与えられた課題、自分が自分に課した課題のことなどを書いていこうと思う。

まず書こうと思うのは『自問自答』することの大切さ。

自分自身を知り、自分の状態、自分のレベル、自分の現在位置、目標までの距離、そこへ行く(やりたいことが出来るようになる)までの手段・・・。
そういったことを自分で把握するためには自問自答は必要だと思う。

また、自分は目標に向かってちゃんと進んでいるか?全力で進んでいるか?やれることは全部やっているか?次の準備は?起きそうなアクシデントは?それに対する準備は?自分に聞くべきことは山とある。

それにはありのままの事実をキチンと見る『眼』、それを素直に受け入れられる心、が必要だと思う。
真っ直ぐな心と前に進もうとするやる気、情熱。これがあればどんな状態になっても、たとえ歩みは遅くとも、前に進んでいけると思う。

STORY S#23 キャスティング

 2006-08-19
 レッスンで使う公共施設は毎週のように場所が変わる。品川、大崎、お台場など転々としながら。
 2回目のショーケースまであと2ヶ月をきった。

 いつものように区民集会所に入り、レッスンの行われる部屋を探す。と、すぐに部屋は見つかったが来ている生徒達の雰囲気がいつもと違った。
 『よかったね・・・』
 『どんなストーリーなのかな・・・』
 『いい役だといいね・・・』
 話したことも無い生徒達の話し声が聞こえてくる。

 「もしかして・・・」

 部屋に入るとすぐに同期のN・Hが俺に言った。
 「雅史、お前ダブルキャストだぞ!すげえな!」
 「えっ?」
 「俺もキャスト入ってるからさ、お互い頑張ろうな。」
 そういってN・Hが指差した先の壁には次回のショーケースのキャストの名前が張り出されていた。
 
 紙にはオムニバスになるパートのそれぞれのシーンごとにキャストの名前が書いてある。シーンは全部で5つ。俺の名前は2番目と5番目のシーンにあった。
 俺はまずどんな役でも舞台の上に上がることを目標にしてた。それが役を2つも振られた。まだここでレッスンを始めて半年にもなっていないのに。
 嬉しい。それは本当だが、複雑な感情があるのも事実だった。もともと人数的に全員が出られるわけではないのに、なんで2つも役をもらえたのか?俺を買ってくれているのか?だとしたら俺のどこを?疑うわけではないけど、全く予想外の結果に戸惑いはある。
 そしてまた同時に『よし!!』と思い、誰に対してかは曖昧だけど勝ち誇る自分。
 様々な感情が、思いが身体の中を駆け巡る。周りにいる人の声も俺の耳には
入らなくなっていた。

 もう一度キャスト表を見ると、俺の名前が入っているのは女性の先輩Rさんのシーン。もう一つは女帝アヤノさんのシーン。但しどんな役なのかは書いてない。
 Rさんについては俺は見たことはあっても話したことはなかった。こちらは純粋に楽しみだ。
 女帝アヤノさんについては先日の樹海ツアーで勉強させてもらった。またまた複雑な感情が走る。

 それにしても重要な情報が入るときは何故いつもN・Hからなんだろうか? 

誰でも最初は未経験!

 2006-08-19
ブログのつくりを検討しなおし、今までよりも整理した形にしたいと思います。

カテゴリ『SLAワークショップ〜レッスン内容』では主に未経験の俳優志望の方の為に、ワークショップのレッスン内容をブログ上で公開していきたいと思います。レッスンの場を探している方の参考になれば嬉しいです。そして是非ワークショップに参加して実際にやってみることをオススメします!

さて、俳優にとって必要なものは沢山あります。が、まずは頭でっかちになる前に身体を動かしましょう。

ゆっくり時間をかけ、自分の身体と会話をするよう(感覚を味わいながら)に普段使わない筋肉や筋を伸ばし、間接を柔らかくしていきます。

○急がないこと
○身体の感覚を自分で意識して感じること
○呼吸を忘れないこと


大きなポイントはこの三つです。

SLAワークショップでは足の指や足の裏のマッサージも大事にしています。
多くの人は普段足の裏はほとんど気にかけないと思いますが、足は『第二の心臓』とも言われます。自分の足をもっと普段から大事にしましょう。

俳優の身体は躍動していることが大事です。たとえ表面的には止まっていても身体の内側(感情や感覚)が思いっきり動いていればいいんです。

まずは自分の身体を色んな動きで刺激して“目覚めさせて”あげましょう。

自分で自分の身体を作る第一歩です。

馬術修行 7

 2006-08-18
KRC4日目、最終日。
この日も太陽が容赦なく俺の身体を容赦なく焼いていく。
昨日に引き続き馬場の砂撒きが延々と続く。

そのうちに“鉄屋さんのマモチャン”なる人がやってきた。
馬の蹄鉄を付け替えるらしい。
これはどうしても見たい。見ておかないと絶対後悔する。
20060818131732.jpg


“マモちゃん”さんの仕事は手早く正確。まさに職人の仕事。古い蹄鉄を外し、伸びた馬の爪(蹄)を削り、新しい蹄鉄をつけていく。
プロの職人さんの仕事というのは見ていて飽きない。ずっと見ていられる。それはまるで一つのパフォーマンス。

20060818131909.jpg


“マモちゃん”さんに聞くと、一人前になって独立できるようになるのには10〜15年かかるという。
良い仕事を見させてもらった。

この後俺は蹄鉄を付け替えたばかりのサンボーイ号、最後に初日に乗ったホワイト号に乗せてもらった。

馬術の技術的には全く初心者だが、感覚的にも感性的にも非常に多くの刺激を受け、本当に盛りだくさんの4日間だった。
俺はダンさんの弟子として、またSLAのメンバー代表として行き、次回もダンさんと一緒に来ることを許された。
このKRCでのおれのやるべきことは、どんなことになっても『師匠』や関係者のみなさんに『こいつはダメな奴だ』『使えない』というレッテルだけは貼らせないこと。俺にとっては勝負だった。
色々な馬に乗せてくれ、次回の許可を得たのは良い結果を出せたと思って良いと思う。

次回が本当に楽しみだ。

馬術修行 6

 2006-08-17
さて、KRC3日め。
やっぱり暑い。馬も全頭茹だっている。やる気がなさそうなのが一見してわかる。こんな日は無理に馬を走らせない。

この日は馬場に砂を撒く作業があった。砂山からネコ(工事現場でよく見かける一輪車)に砂を積み馬場に撒いて馴らしていく。
この作業がまた結構キツイ。
炎天下の作業で初めのうちは会話もあったが、次第に俺もダンさんも無口になっていく。しかしこれがただ単に“バイト”だったら嫌でたまらないのだが、自分が乗る馬のためだと思うと作業はきつくても気分は良い。

俺は前日は結局三頭乗せてもらえた。サンボーイ、いきなり駈歩したドリーム、そしてゼウス号。

そしてその夜には『師匠』が俺の名前を聞いた。


そして一夜明けての馬場での作業。

この後はホワイトソックス号とハッピースノー号に乗せてもらえた。
ダンさんが俺に言う。
『お前、良い馬に乗せてもらってるぞ。』
場所、人、馬、そして空間にやっとなじんできたと感じはじめることが出来てきた。

馬術修行 5

 2006-08-16
KRC2日目。
この日も暑く、だまっていても汗が噴出す。
そんな中馬房で馬の世話をしながら少しでも馬に接しようと暇があれば馬に近づいてみる。
しかし暑さというものにはどうにも叶わない・・・。太陽がジリジリ照り付ける。
どの馬に乗せてもらえるのかは全て『師匠』の指示による。
一頭目はサンボーイ号、ダンさんが乗って走らせた後、俺が乗せてもらえるとのこと。
二頭目はドリーム号。これもダンさんの後に乗せてもらった。
二頭とも初心者がいきなり乗るにはちょっと厳しい(馬の性格や調教によって、下手な人が騎乗すると突然ダッシュしたりすることもある。)そうだが、ダンさんが乗って馴らしてくれた後なら大丈夫とのことだった。

俺は乗っても常歩、軽速歩が主な練習。馬上での姿勢、バランスがテーマ。速度はあまり速くはない。
しかし二頭目のドリーム号、初心者の俺を乗せたまま何を思ったか、突然「駈歩(かけあし)」で走り出した。
俺が知らないうちに馬の腹を蹴ってしまったのか、馬が何かの音に驚いたのか理由はわからないがとにかく『ダッシュ』で走り出した。
馬の動き、リズム、などゆっくり歩いているときとはまるで違う。
俺は馬上で揺られまくりすごいパワーで身体がUP&DOWN。鐙(あぶみ)ははずれ、鞍に乗っている腰だけでバランスをとらなければいけない。馬をコントロールしようとしても手綱の持ち方が全くなっていないため、全然効かない。ドリーム号は全く俺の言うことを聞かないで馬場を駆け回っていた。

“落馬したら痛いだろうな”“落ちたらカッコ悪いし、それは悔しいな”などと思いながらも、感覚としては非常に楽しい。
状況は決して安全ではないけど、スピード感、馬と一緒に駆け回り身体に受ける風の感覚、スリリングさ、どれもが最高に楽しい。
どんなジェットコースターよりも俺にとっては気持ちのいいものだった。

ただ、止まってくれない・・・。
指示を出してくれるダンさんに従い、「どおーっ!」と声をかけながら手綱の引き方を直すと、やっと止まってくれた。
幸いにも落馬はしなかった。俺の顔はにやけてしかたない。息も弾んで身体の奥から笑いが込み上げる。

終った後でダンさんと『師匠』に指導された。やっぱり馬術は面白い。
そして馬はかわいい。

20060816122256.jpg


サンボーイ号!

ああ、ドタキャン

 2006-08-15
SLAのHPを見て、『レッスンの見学』に来たいと言う人がいます。
そういう方には特に制限も無くいつでもSLAは『WELCOME!』です。
実際の俳優の訓練とはどんなものなのか?SLAとはどんな場所なのか?どんなメンバーがいるのか?何を学んでいるのか?・・・。文字や言葉の説明だけでなく実際に自分の目で見てもらうのが一番だし、感じるものも沢山あるからです。
そしてそこからメンバーになっていく人が増えたら俺達にとっても素晴らしいことです。

しかし中には自分で見学を希望し、連絡をとってスケジュールを合わせていざ当日になると連絡も無く“ドタキャン”する人がいます。
つい先日もやられてしまいました。

何かで突然都合が悪くなってキャンセルするのは仕方ない。例え直前で気が変わってしまうのも仕方ないとしよう。
しかし何の連絡も無く待ち合わせをすっぽかし、電話にもでない、メールももしというのは、どういうことなのか?
子供でさえちゃんとできることを、何故いい大人ができないのか?一般的な人としての最低限の常識や礼儀も守れず、どうするのか?

いつも迷惑するのは“ちゃんとやっている人たち”。

『殺陣』の“練習” お手伝い

 2006-08-12
先輩の指導する殺陣の稽古場にお邪魔してきました。そして自分も指導のお手伝い。
すでにタレント活動している女の子やこれからの仕事の為に殺陣を勉強しに来ている男の子達・・・など数人がいました。そのうち2人はこれから出演する作品で殺陣があり、本番もあと数日後。

殺陣も芝居も一朝一夕で出来るものでは決して無い。何回か稽古をしたところで身にはつかない。

殺陣といっても漫画のような『子供だまし』レベルなのか、世界に通用する『本物』なのか。

俳優が仕事の場を広げるために、自身の成長の為に、必要だと思うものは常に鍛え、磨いていなければならない。しかし問題は『どこで誰に何を学ぶのか』

より良いものを学ぶなら、どこのどんな現場へ行っても通用し、インパクトを出せるものを手に入れたいならやはり先生を、師匠を探さなければいけない。
ありきたりの場所でありきたりの先生に付いてもそこではありきたりのものしかない。自分がそれで納得するならそれで良いが、限りなく上を求めるならどんなに時間がかかっても『この人から学びたい』『ここで勉強したい』『この人下で修行したい』と自分が思う人(場所)に出会えるまで自分で探すべきだ。
それは俺も身をもって経験している。

お金が無いなら作ること。時間が無いならそれも作る。結局は自分が何を求めるかが大事だ。
何をどのレベルでやりたいのか?
どれほどの情熱があるか?


何かをやるなら時間もお金も労力もかかる。犠牲にしなければいけないものもたくさんある。
しかしそれを乗り越えることが出来たらその先には『楽しいこと』が待っている。

馬術修行 4

 2006-08-09
初日はホワイト号に乗らせてもらえた。
馬に乗るとは面白いものだ。
馬も人間も意志を持っている。調教されているとはいえ馬は言うことを聞く相手を自分で選ぶ。乗り手がダメな奴だと馬は言うことを聞いてくれない。
ちゃんと乗れるようになったらそこから馬との駆け引きが始まる(らしい)。

自分よりも大きく力も強く、自分の意志を持っている動物。その馬の世話をし、コミュニケーションをとり、乗って自由に操る(俺はまだできないけど)。
そこには日常では得られない刺激も感動もある。役者にとって馬術は必要であると言うことが少し実感できた。これはやってみなければわからない。役者は人に“伝える”ことが仕事である。色んなことを可能な限り『体験』するべきだ。もし時間やお金が乏しいなら工夫して。『体験』は自分の身体に確かな感覚を植え付ける。感情を動かす。理屈抜きに感動をもたらす。

20060809015922.jpg


ダンさんは俺が何を感じ、何を吸収するかを見ているはず。誰と何を話し、どんな行動をするのか、どんな“仕事”をするのかを。そしてそれはKRC『師匠』も同じはずだ。
このプレッシャー、目には見えない暗黙のやり取りが何ともスリリングでありゾクゾクする。

馬術修行 3

 2006-08-08
ダンさんが鞍、ハミ(馬に咥えさせるクツワ、手綱もついている)を準備し、ホワイト号を馬房から出し洗い場へ連れてくる。
俺はその様子を見て準備作業と手順を覚える。下手に手を出しても却って邪魔になるだけなので、まずは見て覚える。

馬の足を掃除し、身体にブラシをかけ、鞍を載せ、ハミをつけていく。途中、ポイントで基本的な事柄を教えてくれながらテキパキと準備が進んでいく。そしてダンさんが乗った後、俺もホワイト号に乗せてもらえるとのことだった。
ダンさんは終始ホワイト号に『ハイヨー、Good Boy』と優しく声をかけている。まるで自分の子供を可愛がるように。

準備を終わり、ホワイト号と一緒に馬場へ入るとダンさんは早速騎乗し“並歩”で準備運動がてら馬を歩かせる。俺は馬場の柵の外側でその様子を見ていた。
馬場を何周かするごとに段々速度を上げ、“軽速歩”、“速歩”になっていく。一見簡単そうには見える。しかし俺は『馬術初心者』。馬に乗る位置、手綱の持ち方、腕の位置、脚の使い方など、見えるところを出来るだけ細かく観察し、自分が乗る時の為にイメージを作る。

俺の乗る番がやってきた。
ダンさんから手綱を受け取り、ぎこちなく馬に跨るとホワイト号はすぐに歩きはじめた。ゆっくりと“並歩”で馬場を周っていく。
馬の背中の上はまるで別世界のよう。単に上から周りを見下ろすというのではない。自分が今乗っているのは、自分よりも大きく力も強い動物。鐙にかけている脚、鞍を通して馬の体温や動きが伝わってくる。手綱を持つ手が引っ張られる。大声を出してはしゃぎたい気分だった。
ダンさんに姿勢をチェックされその都度直すが、なかなかうまくはいかない。
しかし、もし馬とコミュニケーションが取れ、コントロールでき、自由に乗れるようになったらどんなに楽しいだろうか・・・。俺はそんな想像ばかりしていた。

この一発で俺は馬にはまってしまった。

馬術修行 2

 2006-08-05
8/1(火)浅草から電車に乗り、一路栃木県足利市へ向かいました。KRCに到着する前に最低限の予備知識をダンさんが教えてくれました。
『馬場や馬房では走ってはいけない』
『馬の正面には立たないこと』
『馬を驚かせてはいけない』・・・etc。

馬は非常に臆病であり、デリケートな生き物ということを教わると同時に、俺はこれから未知の世界に踏み込むのが楽しみでした。

駅にはKRCのカズさんが車で迎えに来てくれていました。2〜3ヶ月前の俺なら、KRCに近づくにつれ身体に力が入り、気持ちも硬くなりガチガチの状態になっていたはず。しかし今は、テンションが上がる一方で自然体でいられる。自分で自分の状態を感じられることも俺には大きな進歩です。

20060805230126.jpg

“KRCのカズさん。非常にお世話になりました。”

KRCに着くとそこには「師匠」がおり、ダンさんも再会の挨拶。ダンさんがすかさず俺のことも紹介してくれ、俺は自己紹介をしました。
この瞬間から『オーディション』は始まっていました。(何のオーディションかはまた後程)
挨拶もそこそこに早速馬房、馬達、馬場と見て周り、まもなくエサの時間ということでその作業を『見ておけ』と「師匠」の一言。俺は『はい』と答え、作業を覚える為にその様子をじっと見ていた。
しかし難しいのは“どれくらい見ているか?”“何を覚えるか?”ということ。
いつの間にかダンさんも作業を手伝い出し、その場の全員(俺以外)が作業に入っている。いつまでも黙って見ていては、この場の“流れ”に取り残される。かといって見ないことには“流れ”が分からない。どのタイミングで動き出すか?その見切りが問題だった。
そんな俺の様子は師匠ダンさんも「師匠」も必ず見ている。ここにきた時点から全ての瞬間が“勝負”。下手は打てないし、チャンスは二度ない。一度『こいつは使えない』というレッテルを貼られたらその時点で俺の負け。そうなったらもう先は無い。
俺は最後の作業(作り終わったエサを一頭ずつに配る)になったところで初めて手を出した。ギリギリのタイミングだった。

馬にエサをやると今度は“ボロ(馬糞)取り”。小さな熊手と塵取りで一頭ずつ馬房に入りボロを取っていく。しかし馬によってそのタイミング、回数、量とも全て違う。全く初体験の俺は全然仕事になっていなかった。馬房を見て回れば馬達はまだボロはしていない。“あっ”と思ったときにはもう他のスタッフさんが動いている。

20060805230721.jpg



まずは“この場に慣れる”事からだと思い、ダンさんに言われた通りに馬一頭一頭に声をかけて回る。『自分の声を馬に覚えさせるため』だ。声をかけながら一頭ずつ見て回ると、馬はかわいい。馬房は馬の体臭とエサ(草)とボロの匂いで一杯。しかし決して嫌な匂いではない。改めて落ち着いて見る馬の顔は、どれも個性に溢れている。顔の輪郭、目、ハナと口、俺が近寄ったときの反応の仕方・・・、みんなそれぞれだ。

そしてふと見ると、ダンさんが鞍を持って馬に乗る準備を始めている。
馬はホワイト号。
俺のテンションがまた一つ上がっていく。

馬術修行 1

 2006-08-05
8/1(火)〜4(金)の三泊四日で馬術の修行に行ってきました。
非常に内容の濃い四日間で感じたこと、伝えたいことが本当に沢山ありました。何日かに分けて書いていきたいと思います。


『<KRC』。そこは大河ドラマをはじめ、数々の映画やドラマで活躍する劇用馬を持ち、役者のための馬術指導も行っているところ。スターさんの持ち馬も何頭もいます。

俺の師匠ダンさんは以前から通っていましたが、俺は今回初めてお世話になります。しかも他のメンバーはいません。ダンさんと二人です。
KRCで『師匠』と呼ばれる日馬(くさま)さんは非常に厳しいことでも有名です。ここでの修行がどんなものになるのか、というか“修行”をさせてもらえるのか・・・。噂では、『人によっては馬に乗せてもらえない』とも聞いていました。しかし俺にはそんなプレッシャーも心がワクワクする材料でした。

KRCの『師匠』はさすがに馬を知り尽くし、数々のスターや役者達を見てきたその眼は鋭いものでした。


ここには馬を知り、感性を磨き、馬術の修行をするためにきました。単なる“乗馬”ではないのです。スタッフさん達と共に馬の世話をしながら馬と接します。もちろん馬に乗る練習もします。
俺はここで初めて『役者にとって“馬”は必修』という師匠ダンさんの言葉を身体で実感することになります。

20060805011921.jpg

20060805012003.jpg

準備開始!

 2006-08-01
第9回SLA本公演〜2006年10月5日(木)〜9日(月)・全9回公演・ウッディシアター中目黒にて〜
リハーサルが始まりました。
SLAの公演はいつもオリジナルの作品です。台本も師匠ダンさんの指示の基に役者達によって作られる。

先日のリハーサルでは、ダンさんによってすでに指示を与えられていた役者達が自分たちの演じるキャラクターを披露。
そこで出てきたものは・・・。

詳しくは書けませんが、成松、小林、三田の三人はすでに強烈なキャラクターを作り上げてきていました。
三人を中心にしたインプロ(即興で作る芝居)では周りは笑いの渦。一人一人だけでも充分“濃いキャラ”なのに、その三人が一緒に動き出すと誰も止められない。
今から出来上がりが非常に楽しみなスタートになりました。

でも一つ困ったことが(嬉しい悩みというか、ポジティブな意味ですが)・・・。
全体としてはこれはうれしいことですが、俺は一緒に舞台に立ち、演じる役者として、彼らにどう対抗しようかということです。
別にケンカするわけではないけど、舞台の上での存在感では絶対に負けたくない。舞台の上でキャラとして絡むにしても、お互いに『振り回し』また『振り回され』スリリングでエキサイティング、そしてドラマティックなものを作りたい。作品としても『良いもの』を」作るならなおさら、お互いに最高の力を出しきった上でぶつけ合いたい。

絶対負けられない勝負、想像するだけでワクワクしてきます。
今から本番が楽しみです。
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫