表、裏、中身

 2006-04-29
 物事の表側を見て(聞いて、触れて)その中身(内容、または人柄や起きていること)を把握し、裏側(“何故そうなるか”や人の意思や感情、社会の情勢や動きなど)を読み取ること。
 
 これが俺は出来なかった。
 全く出来てなかった訳ではないが、“読み”も“感じ取り方”も浅かった。

 俳優が仕事をするそのプロセスの一つである『SCRIPT ANARYSYS』〜台本の分解〜がある。
 台本を読み作品を把握し、シーン中のセリフやト書きから役の人物を掴み取る。どんな作品なのか、テーマは?役の人物はどんな人か?何をしようとしているのか?環境や設定は?・・・。
 必ずしも充分とはいえない台本中の情報から、演じるために必要な事柄を読み取ることが必要だ。
 セリフの中身、セリフとセリフの行間を読み取り、役の人物を行動させている中身をつかんで、その裏づけを見つけることが必要だ。

 これが出来ないと俳優としては『お話になりません』と言うことになる。もちろん勘違いしては馬鹿にされるだけ。

 俺はこのことを考えたときに、自分の過去を探ってみると小学生のときの思い出に行き当たる。
 小学校5年生の社会科の授業のときに、約10ページに渡って書かれてある一つの項目をまとめなさいと先生が言った。
 俺は『文章を読んでまとめる』ことの意味をわかっていなく、何をしたかというと、「大事だ」と思う文章をノートに抜き出しただけだった。おかげで出来上がったものは単なる教科書の抜粋だった。
 先生に『まとめなさいって言ったよね』と言われてもその意味がわからず俺は『えっ?』と聞き返していた。そのときの先生の『この子は何を聞いてるんだろう・・・しょうがないな』という目、ため息混じりで俺のノートに情けの◎をつけた手のやる気の消えた動き方は今でもハッキリ憶えている。

 このときのことは何かの拍子にふっと自分の中に甦る時がある。そのときはいつも惨めな気持ちになる。
 ちょっとしたトラウマになっていたのかも知れない。

 しかし自分を振り返り、見つめなおす中で、今やっとこのことと向き合うことが出来、解消できそうに思う。

 自分で分かっていると思っても、実は分かっていなかったり、出来ると思っていても実は出来てないことが、なんて多いことか・・・。
 でもこれは、今現在の自分を知るという重要なことであるし、そうでなければ前に進むことは出来ない。

 セリフ一つ、目線や体の動き一つ、そしてその中身には何があるのかで出来上がるものは全く変わる。
 そしてそこには曖昧なものが一つでもあってはいけない。
 そのことにやっと体で気づけた。

 気合や根性、情熱だけでやれることはやったし、もうそれだけでは前には進まない。
 明確な目的に基づいて具体的なポイントを押さえた会話、行動をすること。 人生と“芝居”、自分と“俳優”、何も違わない。一緒だ。

 

前に向かって

 2006-04-25
 『勉強とは自分が何も知らないということを知ること』

 何かの本に書いてありました。
 しかし自分は『何も知らない』だけでなく『何の力も無い』『何も出来ない』も加わってました。
 常々師匠が言っていた『知ってること=出来ることではない』という言葉が心を刺します。
 『自分が振り回され、混乱させられる状態になったとき、学んだものが生かされてなければそれは自分のものになっているとはいえない。』
 全くそのとおりです。

 俺は今自分の本当の姿をまざまざと見せつけられています。そしてそれに対し、「こんなはずじゃないのに・・・」「自分の力が出し切れてないだけだ・・・」という思いもありました。
 でもそれは違う。
 追い込まれたときに、混乱した状態で何が出来るか?
 それが本当の自分の力。

 『自分で思っていた自分』と『本当の自分』。そのギャップを見せつけられたとき、俺はショックでした。
 そしてその自分を受け入れるのが本当に辛い。これが「自己を肯定する」と言うことかと思うと、そこでまた自分の無知を思い知らされる。

 
 師匠に言われたことが体と心に突き刺さる。
 『お前の原点は何だ?』『やりたいことは何だ?』『俺と一緒に芝居がしたいんだろ?』。
 弟子達の成長に時間も労力も惜しまず投資してくれている師匠の言葉。それは胸をえぐりながらも暖かく包み込んでくれる。
 『真剣』と言う言葉の重さが俺の中で変わる。
 自分の名前に対する責任感が変わる。
 師匠の弟子でいられることへの感謝と誇りが今までとは違う感覚で体の中にある。

 自分自身が乗り越えなければならない人生の課題の一つが今ハッキリ見える。そういった課題をいくつも乗り越えたその先に自分の夢である『本物の俳優』『本物の芝居』というものがある。
 
 前に向かって進んでいこう。

BEAT 『B・A・R』

 2006-04-17
 SLAメンバーの中村孝君がプロジェクトリーダーとなって進める企画「BEAT」〜SLAの本公演の半分ほどの規模で行う公演企画〜の1回目の公演です。第1回目は

タイトル:『B・A・R』 (上演時間 約1時間を予定)
日時  :6月10日 土曜日  14:00  19:00
       11日 日曜日  14:00  18:00
劇場  :Broader House 
     Tel:03-3324-0919
CAST:中村 孝
     岡 雅史
     野田晴美
     三田俊介
SOUND&
LIGHTING:大釜 淳

Ticket :前売り ¥2,000
     当日  ¥2,500
     ☆Ticketの申し込み、お問い合わせはお気軽にどうぞ。
     Tel :090−6476−5781
     MAIL :ブログの下の方のメールフォームからどうぞ。 

 Broader Houseは今年オープンしたばかりの新しい劇場で、非常にきれいで観やすいつくりです。駅(京王井の頭線 東松原駅)から徒歩1分。
 
 ストーリーのテーマは、「夢と男と女」。
 夢と恋人・・・もしどちらかを選び、どちらかを諦めなければならないとしたら・・・。

 おそらく舞台上は非常にシンプルなつくりになります。それだけに舞台に上がる役者の力が問われます。客席と舞台の距離が非常に近く、役者にとっては全くごまかしの効かない空間。しかし逆に言うと、作り手と観る側が空間を共有するには最もふさわしい小劇場という場所。
 小規模ながらどれだけのことが出来るか、俺達にとっては大きな挑戦です。

 稽古の様子や制作の過程など、ネタばれにならない程度にブログに書きていこうと思います。

伝えてください、美味しさを!

 2006-04-14
 昨日のSLAワークショップでやったエクササイズを一つ紹介します。

☆自分の大好きな食べ物、料理を紹介してその美味しさをみんなに伝え、聞いている人に『食べたい!』と思わせる。

 このエクササイズは、自分の中にある食べ物や料理を食べた時の感覚(味覚だけでなく五感の全て)、食べている時の気持ちなどを表現して伝えてもらうのですが、話を聞くみんなの感覚を刺激するには的確な細かな表現が必要です。
・SIHGT(視覚):料理(食べ物)の見た目はどうか。大きさ、形、色、盛り付け、新鮮さや生きの良さ、などなど。またはそれを食べる場所や景色も。目から入る情報は人間にとって非常に大きなウェイトを占めます。
・SOUND(聴覚):例えば焼肉や焼き魚を焼いているときの音、食材を煮たり茹でたりする音、ご飯を炊くときの音・・・。音にもワクワクさせられます。
・SMELL(嗅覚):おそらく匂い、香りは一番食欲を刺激するのではないでしょうか。
・TOUCH(触覚):手で箸で触ったときの感覚、口の中に入れたときの歯ざわり舌触り、温度、食感・・・などなど。
・TASTE(味覚):ただ単に『おいしい』『美味い』ではなくて『どんな味』なのか。塩や砂糖といったものでも、生産地や生産方法で随分味は変わります。それがもし「辛い」ならば何の辛さ(唐辛子?からし?胡椒?チリペッパー?タバスコ?鷹の爪?それとも?)なのか?舌にはどんな刺激(ピリッとした?ヒリヒリする?焼けるような?爆発しそう?もっと?)が来るのか。

 そして人に伝えるには、話の中で擬音語や擬態語も必要です。口の中でジュワァッと染み出る肉汁・・・ホクホクのジャガイモ・・・フワフワの生クリーム・・・。

 気持ち。『喜び』『感謝』『驚き』『幸せ〜』それとも・・・?


 嘘や作り話を伝えるのではなく、自分の感じた本当の感覚や気持ちを伝える訳です。問題はどう伝えるか。自分以外の人の感覚を呼び起こすことが出来るかです。
 どんなに恥ずかしがりな人でも自分の感覚とそれを伝えることにしっかりと集中します。これはスピーチ、パフォーマンスに大切な要素ですよね。
 伝えるほうも聞くほうも楽しいエクササイズですよ。


俳優修行=人生修行

 2006-04-13
 俳優修行のなかで、定期的にというか常に自問自答し自分自身を見つめなおすことが必要だ。今現在の自分の状態、環境、目標の見直し、さらに前に進むために必要なこと・・・などなど。

 今現在の俺の課題は

☆『自分』というキャラクターを創り上げること
☆『場』の状況を瞬時に把握し、ポイントを押さえること

大きく分けてこの2点。
良くも悪くも人間としてのアク、存在感が無ければ俳優としてもインパクトはない。『この役は彼でないと演じられない』と思わせるモノを持たないといけない。その為には自分の考え方や物事の解釈、言動、生き方に自分自身の裏付け理由付けがなければ成立しない。
 そして実生活においても芝居においてもポイントを押さえられなければ仕事は成立しない。作品を作りそれをビジネスにするならなおさらだ。人との会話、場の空気、物事の動きや流れ、・・・最も重要な点は何なのかをつかむことが必要だ。 
 特に『自分』という存在、自分の中身を創り上げるのは俺の中にいつも大きくのしかかる課題だ。

 自分自身を見つめなおしてみたときに、俺は自分より強い力に振り回されやすいのかも知れない。表現者たるものそれじゃダメだ。舞台の上に立った時、カメラの前に立った時に、観ている人たち(お客さんやスタッフさん、そして共演者)を自分の世界に引き込むには、それだけの強いモノがなければいけない。俳優として表現の幅、存在感の厚みを広げたい増したいと思ったら、自分という人間のキャパシティを広げ、重みを作ることだ。
 人生においても芝居においても、一挙一動、一言一言が真剣勝負になる。

 

見つけたら逃がさないこと

 2006-04-08
 先日、五反田の本屋を物色していて、「見つけたら買おう」と思っていた本があった。
 どこの本屋にも置いてあるものではないし、「おっ!」と思って買おうとしたけど一瞬考えた。

『通りの斜め向かいには大きな古本屋ブックオフがある・・・もしかしたらあそこにもあるんじゃないか?・・・古本屋を探してみて無かったらここで買おうか?・・・』

 俺はこのとき30分後に人と待ち合わせをしており、古本屋で欲しい本を探すにはあまり時間に余裕は無かった。しかし一度湧き上がった『できれば安く手に入れたい』という気持ちを抑えることは難しい。でも『ここで見つけたのも何かのタイミングだ。今買っておくべきだ。』という考えもある。
 欲しい本がほんの少しだけ安く買えるかも知れない可能性に期待し、限られた時間で古本屋をチェックして、本が見つかれば良し、見つからなければ引き返して通常の価格で買うというチャレンジに出るか、それとも確実に欲しいものを手に入れるために余計な労力は使わずに素直に買い、『自分への投資』という思い入れをこの本に対してより強くするか・・・。
 迷っている時間はない。
 手にとっているその本を持ってそのままレジへ向かうのか?一旦本を置いて目の前の窓から見える古本屋へ走るか?『支出を出来るだけ抑えたい』感情と『投資を惜しんではならない』との考えが戦う・・・。

 俺は手にとっていた本を置き、古本屋へ走った。古本屋の1階入り口付近を見回し、“おすすめコーナー”“新着コーナー”には無いことを確認し、2階へ上がる。“映画”のコーナーを探した。時間はあと25分。
 奥にあった“映画”関連のコーナーに辿り着き、注意深く“あの本”を探す・・・。タイトル、表紙の色、出版社とよく見て見るが・・・ない。似たような本はいくつもあるが、さっきの“あの本”はない。同じようなテーマで書かれた本を開いてみても、やっぱりさっきの“あの本”でないといけない。

 『さっき買っておくべきだったか・・・』

 念のためにフロアを1回りしてみてもやっぱり無かった。待ち合わせの時間まであと15分。あと10分で本を買って待ち合わせ場所に向かおうと古本屋を出る。
 そして“あの本”を見つけた本屋の前に立ったちょうどその時、師匠からメールが・・・、

件名:おーい、
本文:電話くれ。

 師匠に電話をして話が3分以内で終る可能性は限りなくゼロに近い。しかし先に本を買ってから電話をすれば、待ち合わせに遅れる可能性がある。
 俺は師匠に電話をした。

 電話が終って時計を見ると待ち合わせ時間5分前。
 “あの本”を買えなかった・・・。
 待ち合わせ場所に向かって歩きながら、今回のことから
『タイミング』『チャンス』は待ってくれない
ことを改めて実感していた。ショックだったが、気がつけて良かった。
 
 普段の生活の何気ない場面や瞬間にさえ、教えられることは沢山ある。自分自身や身の回りのことに対して敏感になり、何を考え何を感じるかによって、日常はいくらでも刺激的になり、自分で感動も見つけられる。

パフォーマンス in MILK

 2006-04-03
 一昨日4・1(土)に『恵比寿文化祭』というイベントが、恵比寿のクラブ「milk」でありました。そのイベントではバンドのライブ、DJ、ダンスなど盛りだくさんでしたが、そこでSLAメンバーの小林和寿成松修武、俺の三人がバンドの合間を縫ってパフォーマンスをやってきました。
 何をやったかというと、『殺陣』。
 小林と成松くんがそれぞれ青鬼と赤鬼に扮し、獲物である人間の俺を取り合って戦いを繰り広げるという設定。
 気になっていたお客さんの反応もよく、盛り上げてもいただきました。
 『恵比寿文化祭』の関係者の皆様、2人の鬼のメイクを担当してくださった『TRANS PARENT』の皆様、そして応援に来てくださった皆様と楽しんでくれた皆様、本当にありがとうございました。

 今回のこのイベントへの参加の発端は、メンバーの小林でした。
 SLAでは毎年舞台公演を打っていますが、それだけで収まるのではなく、「自分たちの活躍の場を広げる」「その為の場所は自分が作る」「クラブという場所から新しい形での発信を」との想いからイベント出演となりました。
 
 小林が先頭を切って進めてきたこの企画は、SLAにとっても大きなプラスです。去年一年、団体としてもメンバー個々としても乗り越えなければならない課題はたくさんありましたが、それをクリアしてきた成果が出始めてきました。人の何倍も熱い魂をもって、曲がることを知らない『真直ぐな男』である彼は去年と比べて一周り二周り、頼もしくなってきました。

 これからが本当に楽しみです。

 俺も負けてはいられない!
  
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫